最近は健康についての関心が高い。脂肪や糖の吸収を抑える飲み物や、低糖質甘味料を使用した商品も数多くある。24時間営業のスポーツジムや、ヨガやピラティスなどの教室も増えた。昔に比べて、断然ダイエットをやり易い環境にある。


なのにナゼだ! ダイエットが続かなかったり、場合によって諦めたりしてしまうのは、ナゼなんだ!


長続きしない人に、私(佐藤)の実体験をもとに提案がある。悪いことは言わん、ダイエットのことは忘れろ、忘れてしまえ。夢中になれるものをひとつ見つければ、どうでも良くなってしまうぞ。

・ありがちな失敗のパターン

人のことを言う前に、自分自身どうだったかを振り返ろう。私は当編集部で仕事を始める前、人生最低体重53キロだった。それから7年で人生最高72キロを記録していたのである。このままではイカン! と思いながら、生来の運動嫌いで甘いモノ大好きだから、なかなか真剣にダイエットに取り組むことができなかった。ダイエットが上手くいかない人の思考は、大抵こんなパターンだ。



「今日だけ!」とか言って、毎日食べすぎる
「ちょっとだけ休憩!」とか言って、筋トレをすぐ休む
「一口だけ!」と言って食べるその一口が美味すぎる
「明日から!」とか言って、その明日が明後日・明々後日と伸びる
ありとあらゆる言い訳をして、怠ける


一言で片づけるなら、目の前の誘惑に負ける。負けまくる! しかも厄介なことに、「食べちゃダメだ!」と決意してる時に食べるものほど、美味いものはない! 「空腹は最高の調味料」っていうけど、アレ本当。乾いた砂に水が良く浸みこむように、糖分を控えてる時のお菓子は悶絶するほど美味いのである。


ああ、欲に抗うことの難しさよ!


そして、欲に従うことの心地よさよ!!


ダイエットを諦めた時の解放感、


サイコーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!


……こうして自己矛盾を起こし、「ダイエットでメシを食う」というナゾの心地よい流れが出来てしまうのだ……。それで痩せることを完全に諦めてしまえば良いのに、夏が近づくと思い出す。「ああ~、痩せなきゃなあ」って。やめておけ、またダイエットをおかずにメシを食う羽目になると、私は言いたい。


・運動を習慣化しよう


ダイエットをおかずにメシを食わないために、どうすれば良いか。提案したいのは、ダイエットのことを1度忘れてしまうことだ。先にも述べたが固い決意を打ち破り、食べるものほど美味く感じるで、一旦「ダイエット」とか「我慢」のことを頭から放り出そう。それよりも、先に運動を習慣化することに心を割いて欲しい。

生活に運動のサイクルがないため、出来る時だけやろうとするから続かない。「明日から本気出す!」の無限ループを断ち切るために、生活にねじ込め! 運動をねじ込め!!


自宅筋トレできる強い意志があれば問題ないのだが、私生活には誘惑が限りなく転がっている。食い物はもちろん、テレビやスマホ、ゲームに漫画、「ちょっと休憩」を促進するものしか家にはないと思え。家から出ろ、外に出るんだ! 可能ならジムにでも行け。金を払うのがベストだ。お金を払えば元を取りたいと考えるのが自然。こんな時こそ、金の力を使うんだ。月額いくらのジムに通いたまえ!!

私も運動を意識し始めた時に、まずはスポーツジムの会員になっていた。月額1万円以上払っていた時期もあるが、ポールダンスのレッスンを受けるようになって、出費がかさんだために、ジムは退会した。結構な金額を払った覚えはあるが、自分を運動に駆り立てることに成功したと思っている。


・披露する場を


先の項目では、「ジムにでも行け」と吠えたが、理想的にはただの筋トレジムでない方が望ましい。というのに、ひたむきに筋トレするのも良いことだが、できれば競技化されて大会のあるものや、発表会があるようなスポーツの方がより良い。というのも、誰とも競わずにトレーニングを続けるよりも、競争相手がいた方がモチベーションが上がるからだ。

私の場合は、ポールダンスのレッスンを受け、自主的に練習を行っている。幸い、練習仲間がいて、定期的に発表会にも参加している。人に見られる機会、披露する場があるからこそ、日々練習を続けることができている。発表会でカッコイイ! って思われたいやん!! 「前より上手くなったね」って言われたいやん!


余談だが、ポールを習い始めた当初は週1回のレッスンを受けていた。それがそのうち週2に、一時は週3回レッスンを受けるようになった。現在は週1回のレッスンと週2回の自主練を行い、おおむね週の半分はポールに触れている。もっともっと上手くなりたいから。


・実際、体重はどうなった?


なんだかんだ言って、結局結果に結びついていなければ、意味がない。ただの戯言にすぎない訳だが、体重はポールレッスンを受ける半年前(2016年5月)から1年間にわたって計測していた。直近では2019年9月の健康診断でも計測している。


2016年5月 → 69.9キロ

2017年5月 → 62キロ

2019年9月 → 64.3キロ




62キロまで落ちた体重は64キロに戻り、時々65キロになることもある。「なんだ、リバウンドしてんじゃないか」と思う人もいるかもしれないが、もうそんなことどうでもいい。筋肉がつけば、多少なりとも重くなるし、少し食事を制御すれば、スッと減量できる。

ここまで来れば、もう体重なんかどうだっていい! ダイエットなんかどうでもよくなって来るんだよ! その証に、3年前と今の写真を見比べれば、今の方が体重が重くったって、全然構わない!!



痩せたいという思いから始まったのは確かだ。でも、今の私はポールを上達したい。それだけである。ダイエットなんてもういいんだ。ケガなく練習を続けられれば、うかつに太ることもないと思う。


・夢中になれ


本稿を通して、私がお伝えしたいのは、とにかく夢中になれるものを探して欲しい。それだけだ。夢中になれる何かを見つければ、きっとダイエットはだたの通過点でしかなくなる。「痩せたい」という思いの、その向こう側に行って欲しい。きっと人生を豊かにする何かが、そこにはあるはずだ。


「もう遅い」と感じる人もいるはず。そんなことはない。私がポールのレッスンに通い始めたのは43歳からだ。私よりもしあなたが若いなら、もっと早く楽しみに近づくかもしれない。運動ならきっと上達も早く、私よりも長い期間楽しめるだろう。


「自分には向いてない」、そう考える人もいるかもしれない。そんなことはない。ポールを始めるまで、私は43年間もの間、運動の楽しさ、身体を動かす楽しさを知らなかった。だから、今向いていないと思うのは、本当の楽しみ方を知らないだけかもしれない。私だって運動に向いていないと思っていた。だから、あなたに向いてないなんてことはない。


もしダイエットに失敗した過去があったとしても、これから先も同じになるとは限らない。過去のダイエットのことなんか忘れてしまえ。夢中になれるものを見つけて、日常に運動を取り入れろ。痩せることだけを目的にした運動なんて、面白くない。どうせなら、夢中になって身体を動かすことを楽しもう。


執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24