お店の入り口は、看板と同じくらい大事だ。「ここを入ればあの味に会える」、それがわからなければ、人はなかなか入ってきてくれない。当然、お店の売上に大きな影響を与えるだろう。そんなセオリーをまるで覆すようなお店を発見した! そのお店とは、2020年9月にオープンしたかき氷店「四代目大野屋 2号店」だ。

私(佐藤)は危うくお店に気づかず、素通りして立ち去るところだった。というのも、入口がわからなかったからだ。それもそのはず、ここは間借りのかき氷店。しかもその借りているお店というのが……。

・ビッグエコーの中にかき氷店!

ビッグエコーである! カラオケでかき氷店!? まさか、ボックスを借りてるとか? いやいや、それはないので、詳しく説明しよう。


このお店を発見したのは本当に偶然だった。アメ横通りを歩いていたところ、マリオンクレープ上野アメ横店前で、スイカに「四代目大野屋」と彫ってある看板を目撃した。かき氷店の看板だとは思う。ところが周りを見てもそれらしきお店が見えない。


どこに店があるんだろう? マリオンクレープの脇に通路があり、その中を入っていくと、再びスイカ看板があった。え? もしかしてココ!? ほかに入り口らしきところはないので、つまりココが看板の店らしい。おそるおそる扉を開けると、本当にかき氷店だった! しかも満席じゃないか!! みんなよくココを発見できたなあ。


お店の人に話を聞くと、このお店は「ケルツ」という名前のアイリッシュパブで、18時から(月曜定休)だそうだ。かき氷店は、その空き時間に間借りする形で、9月4日から営業を開始しているという。ちなみに私は裏口から入ってしまったらしい。表に回ってみると、バリバリのパブだった。


ちなみに上野本店(1号店)もまたバーを間借りしており、6月7日から10月12日までの期間限定で営業しているそうだ。


・なぜ今、間借りを?

それにしてもなぜ、パブを間借りしているのだろうか? しかも夏の盛りではなく、9月4日から営業開始になったのは? 店長さんに話を聞くと、ビッグエコーの運営会社第一興商から、ケルツの空き時間に使って欲しいと要望を受けたとのこと。したがって、たまたまこの場所で今のタイミングで、オープンする運びになったらしい。

まだ開業して1週間も経っていないが、1号店の常連さんが足を運んでくれるそうだ。なかには1号店と2号店をハシゴする人までいるのだとか。四代目大野屋はとても愛されているようだ。実際にかき氷を食べてみたら、愛される理由がよくわかる。グランドメニューを見ると、料金は一律税込600円。


日ごとの限定メニューは、小盛2種で税込1000円。1種でも税込800円までの価格設定になっている。近年はかき氷の人気の高まりに伴って、1000円を超えるものも珍しくなくなった。その点、四代目大野屋は氷室(ひむろ:氷の卸)の強みを生かして、良い氷を安く提供できるのだ。おまけに間借り営業なので、店の維持費がかからない分、価格を抑えることができるようである。


・追い氷システム

今回注文したのは、お店の1番人気、完熟とちおとめを使った「いちごミルク」だ。それにトッピングの倍ミルク(税込100円)を追加した。



氷はかなり危ういバランスで立っているように見えるが、氷の純度が高いので、多少時間が経過しても溶けたり崩れたりしない。口に入れてみると、口当たりは繊細で柔らかく、少しも水っぽさを感じないのだ。そのため、シロップの美味しさは時間が経っても損なわれることがない。


お店は氷の品質に自信を持っている。その証に「追い氷」が可能である! 追い氷とはおかわりシステムだ。ある程度食べ終わった段階で、「おかわりお願いします」というと、氷を足してくれる。溶けやすい氷を使っていたら、おかわりをしてもシロップが水っぽくなって美味しくなくなってしまう。だが、ここではおかわりもイケる!


なお、2号店の営業は10月31日まで。お店まで遠くて行けないという方は、全国12店の「cafe & meal MUJI」でも四代目大野屋のかき氷の味を楽しむことができるので、近くの店舗に足を運んでみて欲しい。間借りカレーは聞いたことがあったけど、間借りかき氷も始まっていたとは。今後はどんな間借りビジネスが登場するのだろうか。

いずれにしても、まだまだ暑い日が続くので、かき氷の味を楽しもうぜ!


・今回訪問した店舗の情報

店名 四代目大野屋 2号店
住所 東京都台東区上野4丁目10-6
時間 12:00~19:00 土日祝11:00~19:00
定休日 なし(施設に準ずる)

取材強力・参照元:四代目大野屋
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24