春は出会いと別れの季節というが、プロ野球界でも1人の選手が15年の現役生活を終えた。元北海道日本ハムファイターズで投手として活躍した多田野数人(ただの かずひと)さん。メジャーリーグから日本プロ野球界入りした異色の選手だった。

2018年3月1日、彼の引退セレモニーが札幌ドームで行われたのだが、感動的な一部始終がネットで拡散されつつある。涙なくして見られないその様子は、パ・リーグTVが動画にして公開している。

・VTRで激動の野球人生を振り返る

動画の再生時間は約9分。最初こそ球場の和やかな様子が映されるが、大型ビジョンでVTRが再生されると「多田野数人。代名詞は、超スローボール」という語りから引退セレモニーが始まる。

大学卒業後、すぐにメジャー挑戦したことにはじまり、異色ルートでの日本球界入り、そして2度の戦力外通告にBCリーグへの挑戦……。どんな困難があろうとも、何度でもはい上がってきた彼の野球人生をVTRとともに振り返る。

・最後の一球は超スローボール

そこまででも感動的だが、本番はそれから。VTRが終わるとグラウンドに多田野さんが登場し、挨拶で軽いボケを挟んで笑いを誘いつつも、ファンへの感謝を述べる。そしていよいよラストピッチ……。

泣いても笑っても最後の一球。ここで彼がプロ野球人生の最後に選択したのは、集大成とも言える「超スローボール」だった。投げた瞬間に大きく山なりの軌道を描いたボールは、球場にどよめきを起こしつつ捕手のミットへ。最後も現役時と同じように、たった一球で球場を魅了した。

一球で球場を沸かすことのできる投手は、そう現れない。きっと彼の超スローボールは、これからも多くの人の記憶に残るだろう。なお、多田野さんはこれから3度目のファイターズ生活でスコアラー・スカウトとして活動するそうだ。新たな超スローボール投手の育成はおあずけとなるが、今後の活躍に期待したい。

参照元:パ・リーグTV
執筆:原田たかし

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