振り込め詐欺の登場以来、銀行のセキュリティが格段に厳しくなった。一昔前は印鑑と通帳さえ持っていけば どの銀行でも比較的自由に口座の開設が出来たものだが、最近では審査に次ぐ審査、ATMに足を運べば「詐欺に注意」の文字が飛び交っている。ある意味で時代の流れなのだろう。

つい先日、銀行に備え付けのATMで現金を引き出そうとしたときのことだ。ATMが「暗証番号を変更してください」と通知して来るではないか。20年近く使っている暗証番号をこのタイミングで変更しろと……? うーむ、こんな通知は見たことがない。ぶっちゃけ不安だ。

・初めての通知

状況を整理すると、通知があったATMはコンビニや街中にあるものではなく、きっちり銀行内に設置されたATMである。もちろん表示されたのは、そのATMのディスプレイにて。もしこれがメールならガン無視していたが、この上なく “正規品の香り” がするではないか。

だがしかし、こんな通知を見たのは約20年前に口座を開設して以来 初めてだったし、何より慣れ親しんだ暗証番号を変えるのには抵抗がある。……と思いつつも「変えないと金がおろせないのかー」と、記者はまんまと暗証番号を変更してしまった

そのときは特に何とも思っていなかったのだが、職場の同僚や知人に聞いても「そんな通知は見たことがない」と皆が口を揃える。しかも約20年の習慣はすっかり体に染み込んでおり、暗証番号の変更後もATMではついつい “いつもの4ケタ” を打ち込んでしまうのだ。うむ、不便である。

・コールセンターに電話してみた

暗証番号の変更から数日が経ち、「暗証番号戻したい」という気持ちと「なんかヤバいやつだったのか?」という疑念が沸々と渦巻く。というわけで、銀行のコールセンターに電話して、色々と質問をぶつけてみることにした。


──銀行に備え付けのATMで「暗証番号を変更してください」と表示が出たのですが、これは公式な通知なのでしょうか?

「はい、単調なパスワードだったり、生年月日に関連するわかりやすいパスワードだったりするとATMに表示されます」

──そうだったんですね。詐欺じゃなくて安心しました。でも初めて見たのですが、なぜなのでしょうか?

「はい。そういった暗証番号をお使いのお客様には、セキュリティ強化のため定期的に通知させていただいているのですが、もしかしたらお客様がお使いの暗証番号が、最近になって通知すべき番号と認識されたのかもしれません」

──なるほど。ちなみにやはり不便なので暗証番号を戻すことは出来ますか?

「はい、銀行に通帳や印鑑をお持ちいただかなくてもATMで暗証番号が変更いただけます」

──ちなみに、通知が表示された場合、無視して暗証番号を変更しなくてもキャッシュカードは使えるのでしょうか?

「暗証番号の変更は任意ですので、変更いただかなくてもお使いいただけます。ただしセキュリティ強化の観点から、本来であれば定期的に暗証番号を変えていただくことを推奨しております」


話を聞いてすぐに最寄りのATMに足を運んだところ、すんなりと以前の暗証番号に変更することが出来た。普段はあまり目に入らないが「暗証番号の変更」から操作が可能だ。

銀行によって違うとは思うが、いざという時に焦らないために「ATMが暗証番号の変更を通知することがある」「暗証番号を変更しなくてもATMは利用できる」そして「変更してもすぐに元に戻せる」と覚えておくといいだろう。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.