先日、生まれて初めて岩手県盛岡市に行ってきた。と言っても旅の途中で立ち寄っただけなのだが、初めての盛岡だ。“アレ” だけは食べておかねばなるまい。そう、冷麺である! 私(あひるねこ)の中で盛岡と言ったら、問答無用で冷麺なのだッ!!

韓国の細くて蕎麦っぽい麺も嫌いではないが、盛岡冷麺のあの弾力ある太麺こそ真の至高。せっかくの盛岡、できれば有名なお店で食したいものである。というわけで、市内にある盛岡冷麺発祥の地に行ってみることに! しかし、そこで私は冷麺よりも気になるものに出会ってしまうのだった。

・発祥の店へ

盛岡駅のすぐ目の前にある「盛楼閣」。以前、当編集部の原田が訪れたこちらのお店も大変に魅力的だが、今回は大通りの方まで足を伸ばしてみようと思う。私のお目当ては、盛岡冷麺の元祖と呼ばれる老舗「食道園」だ。

店内はいかにも焼肉屋といった雰囲気だが、冷麺だけの注文もOKらしい。実際、冷麺だけ食べてサッと帰る一人客も多く見られた。さて、さっそくメニューを手に取ってみると、そこにはカルビやロースより大きく書かれた「冷麺(950円)」の文字が。早くも主役のオーラをビシビシと感じる。

辛さは4段階から選べるようだ。辛いのがあまり得意でない私は、とりあえず “普通” をチョイスして様子見。周囲から聞こえてくる肉を焼く音色に耳を傾けながら、じっとその時を待った。そしてついに……。


元祖盛岡冷麺、降臨。

・シンプルイズベスト

キレイに盛り付けられた麺の上に、ネギ、ゆで卵、キュウリ、カクテキ、牛肉のチャーシューが乗せられている。シンプルながら実に美しいルックスだ。そう、冷麺はこういうのでいいんだよ。スイカやパイナップルが乗っている店もそれなりに多いが、あれは蛇足というものだろう。

・待ち望んだ弾力

それでは、いただきます。ツルンとした麺をズズッとすすると……お、おお! なんという弾力! なんという歯応えッ!! コレコレ、これなんだよ盛岡冷麺は。私はこの食感を求めていたんだぜ! にしても……すんげぇコシだ。え、こんなに弾む? ってくらい、思い切り押し返してきやがる。反抗期かよ。

それでいて最後には、心地良い余韻を残しながら喉の奥へサッパリと流れていってくれるから最高だ。牛骨を使用しているというスープは思いのほか甘くあっさりしているものの、それ故にいくらでも食べられそうな冷麺であった。満足満足。さあ、帰るとしよう!


しかし……どういうわけか私のテーブルには、「カルビランチ(1250円)」が運ばれていた。なぜか? 私にも原因は分からない……。一体、何が起きたというのだ。

・気になる

まあ、注文したから来るのは当然なのだが、実はこれには理由がある。周りで焼肉を食べている人たちを見ていて、私はあることに気付いたのだ。そう、なぜか彼らは皆、焼いた肉を卵にくぐらせているのである。た、卵だと!? カルビやロースを……? どういうこっちゃ。

・すき焼きスタイル

頼んだわけでもないのにオートで付いてくる生卵。こちらでは甘いタレで味付けした肉を、すき焼きのように卵をまとわせて食べるらしい。へ~、それがデフォになっているのは初めてだ。さっそくやってみよう。


肉を焼いたら……


たっぷり卵をつけて……アァァァム!

なるほど……悪くない。というか、むしろウマい。やはり すき焼き同様、甘いタレが絡んだ肉と卵の相性は抜群である。ビールよりもご飯が欲しくなる味とでも言おうか。先ほど冷麺を食べたばかりだというのに、再びライスへのリターンを強制されるかのような……そんな魔性を秘めた食べ方だ。こちらも大満足。

・ありがとう盛岡

最後に、これは余談だが、私の隣のテーブルでは中学生と思われる男女4人が冷麺を食べに来ていた。ダブルデートに冷麺で、キャッキャウフフ……。盛岡ではよく見る光景なのかもしれないが、私にとっては新鮮この上ない。冷麺のスープのように甘辛な気分を抱えながら、店を後にしたのだった。また来ます。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 食道園
住所 岩手県盛岡市大通1-8-2
時間 11:30~15:30、17:00~23:00(月~土)、11:30~15:30、16:30~21:00(日・祝)※ランチは11:30~14:00
休日 第1第3火曜日

Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

日本、〒020-0022 岩手県盛岡市大通1丁目8−2